相続・売却時に古い抵当権が見つかった場合|休眠担保権の単独抹消という方法があります

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相続・売却時に古い抵当権が見つかった場合|休眠担保権の単独抹消という方法があります

 相続した不動産を調べていると、登記事項証明書の権利部乙区に、見慣れない古い抵当権が残っていることがあります。

 また、不動産を売却しようとして登記簿を確認したところ、何十年も前に設定された抵当権が残っていることがあります。

 住宅ローンや事業資金の借入れで設定された抵当権であれば、金融機関に確認し、完済済みであれば抵当権抹消書類を出してもらう流れが考えられます。

 しかし、古い抵当権の中には、それだけでは済まないものがあります。

 「古いにもほどがある」というほど昔の抵当権です。

 明治、大正、昭和初期に設定された抵当権。

 債権額が数十円、数百円、数千円という古い抵当権。

 抵当権者が個人名で、現在どこにいるのか分からない抵当権。

 登記簿上の住所に郵便を送っても、宛先不明で戻ってくる抵当権。

 抵当権者がすでに亡くなっている可能性が高い抵当権。

 抵当権者である法人が、すでに解散している抵当権。

 当時の金融機関や会社が合併・解散・消滅していて、現在の窓口が分かりにくい抵当権。

 このような古い抵当権は、一般に「休眠担保権」と呼ばれることがあります。

 実際には借入金はとっくに返済されている可能性が高い。

 あるいは、現在では誰も債権の存在を主張していない。

 それでも、登記簿上に抵当権が残っている以上、不動産の相続、売却、担保設定、土地活用の場面では問題になります。

 買主や金融機関から見ると、古い抵当権であっても、登記簿上は担保権が残っている状態だからです。

 では、抵当権者と連絡が取れない場合、もう抵当権は消せないのでしょうか。

 結論からいうと、そうではありません。

 不動産登記には、一定の要件を満たす場合に、所有者側が単独で古い抵当権を抹消できる制度があります。

 たとえば、抵当権者の所在が分からず、被担保債権の弁済期から長期間が経過している場合に、債権額に相当する元本、利息、遅延損害金を供託して、単独で抵当権抹消登記を申請する方法があります。

 また、抵当権者の登記上の住所に郵送物を送っても宛先不明で戻ってくるような場合には、所在不明を示す資料の一つとして扱われることがあります。

 さらに、抵当権者が解散した法人である場合には、別の単独抹消の制度が使えることもあります。

 ただし、古い抵当権の抹消は、単に「古いから消せる」というものではありません。

 抵当権の種類、債権額、弁済期、利息、遅延損害金、抵当権者の所在調査、郵便の返戻、相続人の有無、法人の解散、供託の要否など、確認すべきことが多くあります。

 この記事では、相続や売却時に古い抵当権が見つかった場合の考え方、休眠担保権の問題、供託による単独抹消、宛先不明で郵便が戻ってくる場合の扱い、そして司法書士に相談すべき理由について、実務目線で解説します。

古い抵当権はどこで見つかるのか

 古い抵当権は、登記事項証明書の権利部乙区で見つかります。

 不動産登記簿には、所有者に関する情報だけでなく、抵当権、根抵当権、地上権、賃借権など、所有権以外の権利も記録されます。

 住宅ローンや事業資金の借入れのために抵当権が設定された場合、その内容は乙区に記載されます。

 通常、住宅ローンを完済した場合には、金融機関から抵当権抹消書類を受け取り、抵当権抹消登記を申請します。

 しかし、過去に抹消登記をしないまま年月が経過していると、登記簿上に抵当権が残ります。

 相続登記をするために登記簿を取ったとき。

 売却のために不動産会社や司法書士が登記簿を確認したとき。

 金融機関が担保調査をしたとき。

 土地活用や建替えの準備をしているとき。

 このような場面で、古い抵当権が発覚することがあります。

 特に相続では、相続人が初めて登記簿を見て、古い抵当権の存在を知ることがあります。

 亡くなった親や祖父母が借入れをしていたのかどうか、相続人には分からないこともあります。

 「この抵当権は何ですか」

 「まだ借金が残っているのでしょうか」

 「売却できますか」

 「消せるのでしょうか」

 このような不安につながります。

古い抵当権が残っていると何が困るのか

 古い抵当権が登記簿に残っていても、日常生活ではすぐに困らないことがあります。

 その土地や建物に住み続けるだけであれば、抵当権の存在を意識しないまま何年も経過することもあります。

 しかし、第三者が関係する場面では問題になります。

 たとえば、不動産を売却する場合です。

 買主は、古い抵当権が残ったままの不動産を安心して購入できません。

 買主側の金融機関も、担保として取得する不動産に古い抵当権が残っていれば、融資実行や抵当権設定に慎重になります。

 たとえ債権額が数百円の古い抵当権であっても、登記簿上は抵当権です。

 「古いから問題ない」

 「金額が小さいから無視してよい」

 「誰も請求してこないから大丈夫」

 このようには扱えません。

 不動産登記は、第三者に権利関係を示す制度です。

 登記簿に抵当権が残っている以上、第三者から見れば、その不動産には担保権が付いている状態です。

 そのため、売却、借換え、担保設定、相続後の処分の前には、古い抵当権を抹消できるかどうか確認する必要があります。

普通の抵当権抹消は共同申請が原則です

 通常の抵当権抹消登記は、不動産所有者と抵当権者が共同して申請するのが原則です。

 住宅ローン完済後の抵当権抹消であれば、不動産所有者が登記権利者、金融機関が登記義務者となります。

 金融機関は、抵当権解除証書、登記原因証明情報、委任状、登記済証又は登記識別情報などを交付します。

 所有者側は、それらの書類を使って法務局へ抵当権抹消登記を申請します。

 このように、抵当権者の協力が得られる場合には、比較的スムーズに抹消できます。

 しかし、古い抵当権では、抵当権者に連絡が取れないことがあります。

 抵当権者が個人であれば、登記簿上の住所に住んでいないことがあります。

 すでに亡くなっている可能性もあります。

 相続人が誰か分からないこともあります。

 抵当権者が法人であれば、すでに解散していることがあります。

 このような場合、通常の共同申請ができません。

 そこで問題になるのが、単独抹消の制度です。

単独抹消とは何か

 単独抹消とは、本来であれば抵当権者と共同して申請すべき抵当権抹消登記について、一定の要件を満たす場合に、不動産所有者側が単独で申請できる制度です。

 古い抵当権では、抵当権者の所在が分からず、共同申請ができないことがあります。

 このような状態をそのまま放置すると、不動産の流通や相続整理に大きな支障が出ます。

 そこで、不動産登記法には、所在不明の登記義務者が関係する場合の抹消登記について、例外的に単独申請を認める制度があります。

 ただし、単独抹消は、所有者が「古いから消してください」と言えばできるものではありません。

 法律上の要件を満たし、その要件を証明する資料をそろえる必要があります。

 代表的な方法としては、次のようなものがあります。

 どの方法が使えるかは、登記簿の内容と事実関係によって変わります。

 古い抵当権を見つけた場合には、まず司法書士に登記簿を確認してもらうことが大切です。

供託による単独抹消という方法

 古い抵当権の単独抹消でよく問題になるのが、供託による方法です。

 抵当権者の所在が分からず、共同して抵当権抹消登記を申請できない場合で、被担保債権の弁済期から20年以上経過しているときには、一定の要件のもとで単独抹消が認められることがあります。

 この場合、被担保債権の元本、利息、債務不履行によって生じた損害金に相当する金銭を供託します。

 つまり、登記簿に記載された債権額だけを供託すればよいとは限りません。

 利息や遅延損害金も計算する必要があります。

 古い抵当権では、元本が非常に小さい金額であることがあります。

 しかし、長期間分の利息や遅延損害金をどう計算するか、登記簿に利率や損害金の定めがあるか、弁済期がいつかを確認する必要があります。

 そのうえで、供託所に供託をし、供託したことを証する書面を添付して、抵当権抹消登記を単独で申請します。

 この制度は、非常に古い抵当権を解消するための重要な方法です。

 ただし、計算や資料の整え方を誤ると、登記申請が通らない可能性があります。

 そのため、供託による単独抹消は、司法書士に相談して進めるべき手続きです。

「債権額だけ供託すればよい」とは限りません

 古い抵当権の登記を見ると、債権額が非常に小さいことがあります。

 たとえば、数百円、数千円、数万円といった金額です。

 現在の感覚では、ほとんど問題にならない金額に見えるかもしれません。

 しかし、供託による単独抹消では、単に債権額だけを供託すれば足りるとは限りません。

 原則として、元本に加えて、利息や遅延損害金も確認する必要があります。

 登記簿に利息や損害金の定めが記載されている場合には、その内容を確認します。

 弁済期が記載されているかどうかも重要です。

 弁済期が分からない場合、別途資料を確認する必要があることがあります。

 古い抵当権では、登記簿の記載が現在の登記に比べて分かりにくいこともあります。

 旧字体、古い単位、古い住所表示、古い地番、古い金融機関名などが出てくることもあります。

 そのため、「金額が小さいから簡単」と考えるのは危険です。

 供託額の計算や要件確認は慎重に行う必要があります。

抵当権者の住所に郵便を送って戻ってくる場合

 古い抵当権では、登記簿上の抵当権者住所に郵便を送っても、宛先不明で戻ってくることがあります。

 たとえば、登記簿には抵当権者の住所として古い住所が記載されています。

 その住所に対して、抵当権抹消に関する通知や照会書を送ります。

 しかし、郵便が「あて所に尋ねあたりません」「宛先不明」などとして返戻されることがあります。

 このような返戻郵便は、抵当権者の所在が分からないことを示す資料の一つになります。

 ただし、郵便が戻ってきたからといって、それだけで必ず単独抹消できるとは限りません。

 所在不明の調査として、どこまで確認すべきかは、案件によって異なります。

 個人の抵当権者であれば、住所の沿革、住民票、戸籍、相続人の有無などが問題になることがあります。

 法人の抵当権者であれば、法人登記、解散、清算人、承継先などを確認する必要があります。

 郵便の返戻は重要な資料ですが、それだけで完結するとは考えない方が安全です。

 司法書士は、登記簿の記載、郵便の返戻、所在調査の内容、供託の要否などを整理し、どの単独抹消制度を使えるかを検討します。

抵当権者が個人の場合

 古い抵当権の抵当権者が個人である場合、確認は複雑になりやすいです。

 登記簿上の住所に現在も住んでいるとは限りません。

 すでに亡くなっている可能性もあります。

 もし抵当権者が亡くなっている場合には、その相続人が抵当権を承継している可能性があります。

 そうなると、本来は抵当権者の相続人を調査し、その相続人から抹消書類をもらう方法も考えられます。

 しかし、何十年も前の抵当権では、抵当権者の相続人が多数になっていたり、所在が分からなかったり、連絡が難しかったりすることがあります。

 そのような場合に、所在不明や長期間経過を前提とした単独抹消の制度が問題になります。

 個人名義の古い抵当権は、住所調査、相続人調査、郵便の返戻、債権額や弁済期の確認など、複数の論点が絡みます。

 相続人が自分で対応しようとしても、どこから調べればよいのか分からないことが多いと思います。

 古い個人名義の抵当権が見つかった場合には、早めに司法書士へ相談しましょう。

抵当権者が法人の場合

 抵当権者が法人の場合も注意が必要です。

 古い会社、金融機関、信用組合、保証会社、事業者などが抵当権者になっていることがあります。

 その法人が現在も存在していれば、法人へ連絡し、抵当権抹消に協力してもらえるか確認します。

 しかし、法人がすでに解散している場合があります。

 解散している法人であっても、清算人が存在し、抹消手続きに協力できる場合があります。

 一方、法人が解散してから長期間が経過し、清算人の所在も分からない場合には、不動産登記法上の解散法人の担保権に関する単独抹消制度が使えることがあります。

 この制度では、法人が解散していること、清算人の所在が判明しないこと、被担保債権の弁済期から一定期間が経過していること、法人の解散から一定期間が経過していることなどが問題になります。

 個人の抵当権者の場合とは、確認すべき資料や制度が異なります。

 法人名義の古い抵当権だからといって、単純に「会社がないから消せる」というわけではありません。

 法人登記や閉鎖登記簿、清算人の有無などを確認する必要があります。

公示催告・除権決定による方法

 抵当権者の所在が分からず、共同して抹消登記を申請できない場合には、公示催告の申立てを検討することもあります。

 公示催告とは、一定の権利について、利害関係人に対して申出をするよう裁判所を通じて公告する手続きです。

 その後、所定の手続きを経て除権決定がされると、その決定をもとに単独で抹消登記を申請できる場合があります。

 供託による方法と、公示催告・除権決定による方法のどちらが適しているかは、案件によって異なります。

 供託による方法では、被担保債権の弁済期から20年以上経過していることや、元本・利息・遅延損害金の供託が問題になります。

 一方、公示催告による方法では、裁判所での手続きや公告期間などが関係します。

 どちらの方法にも時間と費用がかかります。

 また、登記簿の記載や証明資料によって、選べる方法が変わります。

 司法書士に相談し、必要に応じて弁護士や裁判所手続きも含めて検討することが大切です。

売却時に古い抵当権が見つかった場合

 不動産の売却時に古い抵当権が見つかった場合は、特に注意が必要です。

 売買決済では、買主が売買代金を支払い、売主から買主へ所有権移転登記を行います。

 買主が住宅ローンを利用する場合には、買主側金融機関の抵当権設定登記も行われます。

 このとき、売主側の不動産に古い抵当権が残っていると、買主や買主側金融機関は大きな不安を持ちます。

 古い抵当権であっても、登記簿上は有効に見える担保権です。

 売主様が「これは昔のものだから大丈夫です」と説明しても、それだけでは足りません。

 登記簿上、抹消されていない以上、買主へ引き渡す前に抹消できる状態を整える必要があります。

 しかし、古い抵当権の単独抹消には時間がかかります。

 抵当権者の所在調査、郵便の送付、返戻確認、供託額の計算、供託、登記申請、公示催告、法人の解散確認など、案件によって必要な手順が異なります。

 売買契約後、決済日が近づいてから古い抵当権が発覚すると、決済日までに抹消できないことがあります。

 その場合、決済日の延期、契約条件の見直し、買主側金融機関との調整などが必要になる可能性があります。

 売却を考え始めた段階で、登記簿の乙区を確認することが非常に大切です。

相続時に古い抵当権が見つかった場合

 相続時に古い抵当権が見つかった場合も、早めに対応を検討する必要があります。

 相続登記そのものは、古い抵当権が残っていても申請できる場合があります。

 しかし、相続した不動産を将来売却したり、担保に入れたり、遺産分割の対象として評価したりする場合には、古い抵当権の存在が問題になります。

 相続人が複数いる場合、古い抵当権を誰が対応するのか、費用を誰が負担するのかも問題になります。

 遺産分割協議で不動産を取得する人が決まってから対応するのか、相続人全員で整理するのか、売却前提で同時に進めるのか、状況によって方針が変わります。

 また、古い抵当権が付いたままの不動産は、相続人にとって心理的な負担にもなります。

 「本当に借金は残っていないのか」

 「抵当権者から請求されることはないのか」

 「売れる土地なのか」

 「このまま相続してよいのか」

 このような不安が生じます。

 相続で古い抵当権が見つかった場合には、相続登記と合わせて、古い抵当権を抹消できるかどうかを司法書士に確認しましょう。

古い抵当権を見つけたときの確認ポイント

 古い抵当権を見つけた場合には、まず登記簿をもとに次の点を確認します。

 これらを確認しなければ、どの単独抹消制度を使えるか判断できません。

 弁済期から20年以上経過しているかどうか。

 供託額はいくらになるのか。

 抵当権者が所在不明といえるのか。

 抵当権者が法人であれば解散しているのか。

 清算人の所在は分かるのか。

 共同担保になっている不動産があるのか。

 このような点を一つずつ整理します。

 古い抵当権は、登記簿の一行だけを見て判断できるものではありません。

郵便の返戻は大切な資料になります

 抵当権者の所在が分からない場合、登記簿上の住所に郵便を送ることがあります。

 その郵便が宛先不明で返戻された場合、その返戻された封筒や付箋は、所在不明を示す資料として重要になることがあります。

 そのため、戻ってきた封筒を捨ててはいけません。

 「あて所に尋ねあたりません」などの表示がある封筒は、そのまま保管してください。

 ただし、郵便を送る内容、送付方法、宛名、住所、返戻された資料の使い方は、手続きに影響することがあります。

 自己判断で適当に送ってしまうと、後で資料として使いにくい場合もあります。

 古い抵当権の抹消を検討している場合には、郵便を送る前に司法書士へ相談することをおすすめします。

 どの住所に、どのような内容で、どの方法で送るかを確認してから進める方が安全です。

共同担保にも注意しましょう

 古い抵当権が一つの不動産だけに付いているとは限りません。

 複数の土地や建物に共同担保として設定されていることがあります。

 たとえば、自宅の土地建物だけでなく、隣接地、私道持分、農地、山林、共有地などに同じ抵当権が付いている場合があります。

 古い抵当権を抹消する場合には、共同担保目録を確認し、どの不動産に抵当権が付いているかを把握する必要があります。

 一部の不動産だけ抹消しても、他の不動産に抵当権が残ることがあります。

 相続や売却で問題になるのは、まさにこの見落としです。

 売却対象の土地建物だけを見ていたら、共有道路持分に同じ抵当権が残っていた。

 相続した土地の一筆だけ確認していたら、他の筆にも共同担保として抵当権が付いていた。

 このようなことがあります。

 古い抵当権の抹消では、抵当権そのものだけでなく、対象不動産の範囲も慎重に確認しましょう。

古い抵当権は「消せる可能性がある」が、簡単とは限りません

 古い抵当権が見つかった場合、重要なのは、あきらめないことです。

 抵当権者が分からないから消せない。

 昔の抵当権だからどうしようもない。

 金額が小さいけれど残ったままにするしかない。

 そう考える必要はありません。

 不動産登記には、休眠担保権を抹消するための制度があります。

 供託による単独抹消、公示催告・除権決定、解散法人の担保権の単独抹消など、状況に応じた方法があります。

 一方で、「古いから簡単に消せる」というものでもありません。

 法律上の要件を満たしているか、必要資料がそろうか、供託額をどう計算するか、抵当権者の所在調査をどう行うか、共同担保をどう扱うかを確認する必要があります。

 特に売却が関係する場合には、時間の問題もあります。

 単独抹消の制度があるからといって、決済直前にすぐ抹消できるとは限りません。

 早めに登記簿を確認し、司法書士へ相談することが大切です。

不動産会社様にも知っておいていただきたいこと

 不動産会社様にとっても、古い抵当権は重要な確認ポイントです。

 売主様が「借金はありません」と話していても、登記簿上に古い抵当権が残っていることがあります。

 売主様本人や相続人が、その抵当権の存在を知らないこともあります。

 特に相続物件では、所有者が亡くなって初めて登記簿を確認し、古い抵当権が発覚することがあります。

 売買契約後や決済直前に古い抵当権が見つかると、抹消方法の確認に時間がかかります。

 供託が必要なのか。

 抵当権者の所在調査が必要なのか。

 郵便が宛先不明で戻ってくる資料が必要なのか。

 法人が解散しているのか。

 公示催告が必要なのか。

 このような確認を短期間で行うのは簡単ではありません。

 媒介受託時や売却相談の初期段階で登記事項証明書を確認し、乙区に古い抵当権がないかを見ておくことが大切です。

 古い抵当権が見つかった場合には、早めに司法書士へ相談してください。

司法書士に相談するメリット

 古い抵当権の抹消は、登記実務の中でも確認事項が多い手続きです。

 司法書士に相談すれば、まず登記事項証明書を確認し、その抵当権がどのような性質のものかを整理します。

 抵当権者が個人なのか法人なのか。

 所在不明といえる資料がそろうのか。

 弁済期から20年以上経過しているのか。

 債権額、利息、遅延損害金の供託が必要なのか。

 公示催告が必要なのか。

 解散法人の担保権抹消制度が使えるのか。

 共同担保の対象不動産はどこまでか。

 相続登記や売買決済とどのように組み合わせるべきか。

 これらを確認し、手続きの方向性を検討します。

 また、古い抵当権の抹消では、供託所、法務局、場合によっては裁判所や金融機関とのやり取りが必要になることがあります。

 一般の方が一人で進めるには負担が大きい手続きです。

 司法書士は、不動産登記の専門家として、古い抵当権を抹消するための方法を整理し、必要な登記申請をサポートします。

よくあるご質問

古い抵当権は時効で自動的に消えますか

 自動的には消えません。

 債権が時効にかかっている可能性があっても、登記簿上の抵当権は抹消登記をしない限り残ります。

 古い抵当権を消すには、抵当権者の協力を得るか、単独抹消の制度を検討する必要があります。

債権額が数百円なら無視してもよいですか

 無視しない方がよいです。

 金額が小さくても、登記簿上に抵当権が残っていれば、売却や担保設定の場面で問題になります。

 特に買主や金融機関が関係する場合には、抹消を求められることが通常です。

抵当権者の住所に郵便を送って戻ってきたら抹消できますか

 郵便が宛先不明で戻ってきたことは、所在不明を示す資料の一つになることがあります。

 ただし、それだけで必ず抹消できるとは限りません。

 他の要件や資料も確認する必要があります。

供託すれば必ず単独抹消できますか

 供託による単独抹消には要件があります。

 抵当権者の所在不明、被担保債権の弁済期から20年以上経過していること、元本・利息・遅延損害金の全額相当額の供託などを確認する必要があります。

売買契約後に古い抵当権が見つかりました。間に合いますか

 案件によります。

 古い抵当権の単独抹消には時間がかかることがあります。

 決済日が近い場合には、早急に司法書士へ相談し、抹消方法とスケジュールを確認する必要があります。

司法書士法人JOネットワークの対応

 司法書士法人JOネットワークでは、相続や売却時に見つかった古い抵当権、休眠担保権、抵当権者の所在不明、金融機関や法人の解散・合併が関係する抵当権抹消についてご相談を承っています。

 まず登記事項証明書を確認し、乙区に残っている抵当権の内容を整理します。

 抵当権者が個人か法人か、現在も存在するのか、所在調査が必要か、供託による単独抹消が使えるか、公示催告が必要か、解散法人の担保権に関する単独抹消制度が使えるかを確認します。

 相続案件では、相続登記との関係を整理します。

 売却案件では、買主様、売主様、不動産会社様、金融機関様に影響が出ないよう、できるだけ早い段階で手続き方針を確認します。

 古い抵当権は、発見が遅れるほど対応が難しくなります。

 相続した不動産や売却予定の不動産に古い抵当権が残っている場合には、決済直前ではなく、早めにご相談ください。

まとめ

 相続や売却の場面で、登記簿上に古い抵当権が見つかることがあります。

 古い抵当権の中には、債権額が非常に小さいもの、抵当権者の所在が分からないもの、登記上の住所に郵便を送っても宛先不明で戻ってくるもの、抵当権者がすでに亡くなっている可能性があるもの、法人が解散しているものなど、さまざまなケースがあります。

 このような古い抵当権は、休眠担保権として問題になることがあります。

 古い抵当権が登記簿に残っていると、売却、借換え、担保設定、相続後の処分に支障が出ます。

 たとえ債権額が小さくても、登記簿上は抵当権です。

 第三者から見れば、不動産に担保権が付いている状態です。

 しかし、古い抵当権が見つかったからといって、必ずしもあきらめる必要はありません。

 不動産登記には、一定の要件を満たす場合に、所有者側が単独で抵当権を抹消できる制度があります。

 代表的な方法として、被担保債権の弁済期から20年以上経過し、元本、利息、遅延損害金の全額相当額を供託して単独抹消する方法があります。

 抵当権者の登記上の住所に郵便を送って宛先不明で戻ってくる場合、その返戻郵便が所在不明を示す資料の一つになることもあります。

 また、抵当権者が解散法人である場合には、別の単独抹消制度が使えることもあります。

 ただし、単独抹消は簡単な手続きではありません。

 抵当権者の所在調査、債権額、利息、遅延損害金、弁済期、供託、共同担保、法人の解散、清算人の所在など、多くの確認が必要です。

 売却が関係する場合には、決済スケジュールにも影響します。

 古い抵当権を見つけたら、自己判断で放置せず、早めに司法書士へ相談しましょう。

 単独抹消の制度はあります。

 大切なのは、その抵当権について、どの制度が使えるのか、どの資料が必要なのか、いつまでに抹消できるのかを正確に見極めることです。

関連情報

法務省「供託Q&A」

法務省「供託書等の記載例」

e-Gov法令検索「不動産登記法」

法務局「不動産登記申請手続」

タグ:古い抵当権/休眠担保権/抵当権抹消/単独抹消/供託/遅延損害金/抵当権者所在不明/宛先不明/公示催告/除権決定/解散法人の担保権/相続不動産/不動産売却/乙区/共同担保/司法書士/司法書士法人JOネットワーク

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