
住宅購入時の諸費用ローンの抵当権にご注意|少額だからこそ見落としやすい不動産登記の落とし穴
住宅を購入するとき、多くの方は住宅ローンを利用します。
物件価格に対する住宅ローンだけでなく、登記費用、仲介手数料、火災保険料、保証料、事務手数料、引越し費用など、購入時に必要となる諸費用についても、別途ローンを利用することがあります。
いわゆる「諸費用ローン」です。
諸費用ローンは、住宅ローン本体と比べると借入金額が比較的小さいことが多く、返済期間や金利条件も住宅ローン本体とは異なることがあります。
そのため、住宅ローン本体はそのまま返済を続けながら、諸費用ローンだけ先に完済してしまう方も少なくありません。
毎月の負担を少しでも減らしたい。
金利が高い方から先に返したい。
少額のローンだから早く終わらせたい。
このように考えて、諸費用ローンを早めに完済すること自体は、とても自然な判断です。
しかし、ここで意外と見落とされやすい重要なポイントがあります。
諸費用ローンにも、住宅ローン本体とは別に抵当権が設定されていることがあります。
そして、諸費用ローンを完済しても、その抵当権は自動的には登記簿から消えません。
完済した後に、抵当権抹消登記を申請する必要があります。
ところが、諸費用ローンは金額が比較的小さいため、住宅ローン本体ほど意識されません。
金融機関から抹消書類が届いていたとしても、「住宅ローン全体の書類の一部だろう」と思って保管したままになっていたり、そもそも抵当権抹消が必要だと気づかないまま何年も経過してしまうことがあります。
そして、売却、借換え、相続、担保設定、離婚に伴う財産分与など、第三者が関係する場面になって初めて、登記簿に諸費用ローンの抵当権が残っていることが発覚します。
「住宅ローンはまだ残っているけれど、諸費用ローンはとっくに返したはず」
「少額の借入れだったので、抵当権が付いているとは思わなかった」
「金融機関から届いた書類をどこにしまったか分からない」
「売却の決済日が近いのに、抹消書類が見つからない」
このような状況になると、不動産売買や登記手続きに大きな影響が出ることがあります。
この記事では、住宅購入時の諸費用ローンに設定される抵当権の注意点、諸費用ローンだけ先に返済した場合に必要となる抵当権抹消登記、放置した場合に売却や相続で慌てる理由について、司法書士の視点から分かりやすく解説します。
諸費用ローンとは
諸費用ローンとは、住宅購入時に必要となる物件価格以外の費用をまかなうためのローンです。
住宅を購入するときには、物件価格以外にもさまざまな費用がかかります。
たとえば、次のような費用です。
- 所有権移転登記や抵当権設定登記に関する登記費用
- 司法書士報酬
- 仲介手数料
- 住宅ローンの事務手数料
- 保証料
- 火災保険料
- 固定資産税や都市計画税の精算金
- 管理費や修繕積立金の精算金
- 引越し費用
- リフォーム費用の一部
これらの費用を自己資金だけで用意するのが難しい場合、金融機関によっては、住宅ローン本体とは別に諸費用ローンを組むことがあります。
諸費用ローンの仕組みや条件は、金融機関や商品によって異なります。
住宅ローン本体と同じように不動産を担保にする場合もあれば、別の形で取り扱われる場合もあります。
実務上注意したいのは、諸費用ローンが住宅ローン本体とは別の債権として扱われ、不動産登記簿に別の抵当権として登記されていることがある点です。
住宅ローン本体の抵当権とは別に、諸費用ローン分の抵当権が第2順位などで設定されていることがあります。
この場合、諸費用ローンを完済しただけでは、登記簿上の抵当権は消えません。
完済後に、その諸費用ローンに対応する抵当権抹消登記を申請する必要があります。
諸費用ローンは先に返済されやすい
諸費用ローンは、住宅ローン本体と比べると借入金額が小さいことが多いです。
物件価格に対する住宅ローンが数千万円であるのに対し、諸費用ローンは数十万円から数百万円程度というケースもあります。
また、金利条件や返済期間が住宅ローン本体と異なることがあります。
そのため、家計に余裕ができたとき、ボーナスや退職金、預貯金を使って、諸費用ローンだけ先に繰上返済・完済する方がいます。
これは、返済計画としては合理的な場合もあります。
借入額が少ないローンを先に終わらせることで、毎月の返済管理が楽になります。
金利が高いローンを先に返すことで、総返済額を抑えられることもあります。
心理的にも、「小さいローンを一つ片付けた」という安心感があります。
しかし、返済が終わった後に、抵当権抹消登記まで行っているかどうかを確認する方は多くありません。
住宅ローン本体がまだ残っているため、「不動産にはどうせ抵当権が付いている」と考え、諸費用ローン分の抵当権が残っていることに気づきにくいのです。
この見落としが、後の売却や借換えの場面で問題になります。
抵当権は借入れごとに複数付いていることがあります
不動産登記簿を見ると、権利部の乙区に抵当権設定登記が記載されています。
住宅購入時に住宅ローンと諸費用ローンを利用している場合、乙区に複数の抵当権が記録されていることがあります。
たとえば、次のようなイメージです。
| 順位番号 | 内容 | 債権額 |
|---|---|---|
| 1番 | 住宅ローン本体の抵当権 | 3,000万円 |
| 2番 | 諸費用ローンの抵当権 | 200万円 |
この例では、住宅ローン本体に対応する抵当権と、諸費用ローンに対応する抵当権が別々に登記されています。
諸費用ローンだけを先に完済した場合、2番の抵当権は実体としては担保する債務がなくなります。
しかし、抵当権抹消登記をしなければ、登記簿上は2番の抵当権が残ったままになります。
一方、住宅ローン本体がまだ残っていれば、1番の抵当権はそのまま残ります。
この状態では、登記簿上、少なくとも2本の抵当権のうち1本は完済済みなのに抹消されていない、ということになります。
所有者本人は、諸費用ローンを返済したことを覚えているかもしれません。
しかし、登記簿だけを見た第三者には、その抵当権が完済済みなのか、まだ有効な債務を担保しているのかは分かりません。
だからこそ、完済した抵当権は登記簿から抹消しておくことが大切です。
完済しても抵当権は自動的には消えません
住宅ローン本体でも、諸費用ローンでも、完済しただけで抵当権が自動的に登記簿から消えるわけではありません。
金融機関内部では完済処理が行われます。
債務者としては、もうそのローンを返済する必要はありません。
しかし、不動産登記簿の抵当権を消すには、抵当権抹消登記を法務局へ申請する必要があります。
金融機関から抹消登記に必要な書類が交付され、それをもとに所有者側が登記申請を行う流れが一般的です。
この仕組みは、諸費用ローンでも同じです。
少額のローンだから自動的に消えるということはありません。
住宅ローン本体が残っているから、諸費用ローン分の抵当権抹消をしなくてもよいというわけでもありません。
完済した債務に対応する抵当権は、抹消登記をしない限り、登記簿上に残り続けます。
ここが、一般の方にとって非常に分かりにくいところです。
「お金を返し終わったこと」と「登記簿がきれいになったこと」は別です。
完済したら、その抵当権について抹消登記が必要かどうかを確認しましょう。
諸費用ローンの抵当権が見落とされる理由
諸費用ローンの抵当権が見落とされる理由はいくつかあります。
一つ目は、借入金額が比較的小さいことです。
住宅ローン本体が大きな金額であるため、諸費用ローンはどうしても印象が薄くなります。
住宅購入時には、売買契約、重要事項説明、住宅ローン契約、火災保険、登記、引越しなど、多くの手続きが同時に進みます。
その中で、諸費用ローンにも抵当権が設定されていることまで明確に覚えている方は多くありません。
二つ目は、住宅ローン本体の抵当権と混同しやすいことです。
登記簿上、同じ金融機関名で複数の抵当権が記載されている場合、一般の方にはどれが住宅ローン本体で、どれが諸費用ローンなのか分かりにくいことがあります。
三つ目は、住宅ローン本体が残っているため、抵当権が残っていること自体に違和感を持ちにくいことです。
諸費用ローンだけ完済しても、住宅ローン本体の抵当権は残ります。
そのため、「登記簿に抵当権があるのは当然」と思い、完済済みの諸費用ローン分の抵当権が残っていることに気づかないことがあります。
四つ目は、金融機関から届いた抹消書類をそのまま保管してしまうことです。
完済後に書類が届いていても、内容を理解しないまま封筒ごと保管し、いつの間にか紛失してしまうことがあります。
諸費用ローンの抵当権は、金額が小さいからこそ見落とされやすいのです。
売却のときに発覚すると慌てます
諸費用ローンの抵当権抹消漏れが問題になりやすいのは、不動産を売却するときです。
不動産売却の決済では、買主が売買代金を支払い、売主から買主へ所有権移転登記を行います。
このとき、売主の不動産に抵当権が残っている場合には、通常、その抵当権を抹消する必要があります。
住宅ローン本体が残っている場合には、売却代金で住宅ローンを完済し、同時に抵当権を抹消するという流れになります。
しかし、登記簿を確認したところ、住宅ローン本体とは別に、昔完済したはずの諸費用ローンの抵当権が残っていることがあります。
この場合、住宅ローン本体の抹消書類とは別に、諸費用ローン分の抵当権抹消書類も必要になります。
所有者本人が「それは昔返し終わっています」と言っても、それだけでは登記簿上の抵当権は消えません。
金融機関から交付された解除証書、弁済証書、登記識別情報又は登記済証、委任状などを確認し、抵当権抹消登記を申請する必要があります。
売却の決済日が近い段階でこの問題が分かると、抹消書類の確認、金融機関への照会、再発行手続き、登記申請の準備に追われることになります。
場合によっては、決済日の延期や、当日の段取り変更が必要になることもあります。
諸費用ローンの抵当権は少額でも、売却決済に与える影響は小さくありません。
第三者が関係する場面では「完済済みです」だけでは足りません
ご本人にとっては、諸費用ローンを完済したことは明らかかもしれません。
通帳の記録、金融機関からの通知、記憶などによって、返済が終わっていることを理解している場合もあります。
しかし、不動産取引で第三者が関係する場面では、「完済済みです」という説明だけでは足りません。
買主は、抵当権が残ったままの不動産を取得したくありません。
買主側の金融機関も、担保として取得する不動産に古い抵当権が残っている状態を問題にします。
不動産会社も、決済当日に安全に引渡しを完了させる必要があります。
司法書士も、所有権移転登記や抵当権設定登記を安全に申請できる状態であることを確認しなければなりません。
そのため、第三者が関係する場面では、完済済みの事実だけでなく、登記簿上の抵当権が抹消されることが必要になります。
登記簿に抵当権が残っている以上、第三者から見れば、その不動産には担保権が付いているように見えます。
完済しているなら、登記簿上も抹消しておく。
これが、不動産取引を円滑に進めるためには非常に重要です。
相続のときにも問題になります
諸費用ローンの抵当権抹消漏れは、売却だけでなく相続の場面でも問題になります。
たとえば、親が住宅購入時に諸費用ローンを利用しており、かなり前に完済していたとします。
しかし、抵当権抹消登記をしないまま長年放置され、その後、親が亡くなったとします。
相続人が相続登記のために登記事項証明書を取得すると、乙区に古い抵当権が残っていることに気づきます。
相続人からすると、その抵当権が住宅ローン本体なのか、諸費用ローンなのか、完済済みなのか、まだ残債があるのかが分かりません。
親が生前に金融機関から受け取った抹消書類を保管していればよいですが、見つからないこともあります。
完済から年月が経っていると、当時の金融機関が合併していたり、支店が統廃合されていたり、問い合わせ先が分かりにくくなっていることもあります。
また、所有者が亡くなっているため、相続人であることを示す戸籍や法定相続情報一覧図など、追加資料が必要になることがあります。
生前に諸費用ローンの抵当権抹消登記をしていれば、相続人が悩む必要はなかったかもしれません。
少額の抵当権でも、相続のときには大きな手間になることがあります。
借換えや追加融資でも問題になることがあります
不動産を売却しない場合でも、借換えや追加融資の際に、古い抵当権が問題になることがあります。
住宅ローンの借換えでは、現在の金融機関の抵当権を抹消し、新しい金融機関の抵当権を設定します。
このとき、登記簿に諸費用ローンの抵当権が残っていると、それが完済済みであっても、抹消の対象として確認する必要があります。
また、リフォームローンや事業資金の借入れなどで、不動産を担保にする場合にも、登記簿上の先順位抵当権が確認されます。
金融機関は、担保不動産にどのような権利が付いているかを確認します。
完済済みの抵当権であっても、登記簿に残っていれば、追加確認が必要になります。
抹消書類がすぐにそろわない場合、融資スケジュールに影響することがあります。
諸費用ローンの抵当権は、売却時だけでなく、将来の資金計画にも影響する可能性があります。
諸費用ローンを完済したときに確認すべきこと
諸費用ローンを完済した場合には、次の点を確認することをおすすめします。
- 完済したローンに抵当権が設定されていたか
- 金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類が届いているか
- 登記簿上、どの順位番号の抵当権に対応しているか
- 住宅ローン本体とは別の抵当権が残っていないか
- 抹消登記をすでに申請したか
- 抹消登記が完了しているか
- 完済書類を紛失していないか
金融機関から書類が届いた時点で、司法書士に相談すれば、どの抵当権を抹消すべきか確認できます。
住宅ローン本体がまだ残っている場合でも、諸費用ローンに対応する抵当権だけを抹消できる場合があります。
ただし、登記簿の記載や金融機関の書類を確認しなければ、正確な判断はできません。
「少額のローンだから大丈夫」と思わず、完済したローンと登記簿上の抵当権がどう対応しているかを確認することが大切です。
登記簿の乙区を確認しましょう
諸費用ローンの抵当権が残っているかどうかを確認するには、登記事項証明書を取得し、権利部の乙区を確認します。
土地と建物がある場合には、土地と建物の両方を確認する必要があります。
マンションの場合には、区分建物の登記情報や敷地権の表示を確認します。
乙区には、抵当権、根抵当権、賃借権など、所有権以外の権利に関する登記が記載されます。
住宅ローンや諸費用ローンの抵当権は、この乙区に記載されます。
債権額が大きい抵当権と、小さい抵当権が並んでいる場合、小さい方が諸費用ローンに対応している可能性があります。
ただし、債権額だけで断定することはできません。
抵当権者、債務者、設定日、金融機関からの完済書類の内容などを照合して確認する必要があります。
登記簿を見慣れていない方にとって、乙区の読み取りは難しいことがあります。
どの抵当権が何の借入れに対応しているのか分からない場合には、司法書士へ相談してください。
抹消書類を紛失すると手続きが増えます
諸費用ローンを完済した後、金融機関から抵当権抹消に必要な書類が届いていたとしても、すぐに登記しないまま保管していると、紛失することがあります。
封筒ごとしまい込んでしまう。
住宅ローン関係書類と一緒に保管して、どれが必要書類か分からなくなる。
引越しや片付けの際に処分してしまう。
相続人が書類の意味を知らずに廃棄してしまう。
このようなことは十分に起こります。
抹消書類を紛失しても、必ず抹消できないわけではありません。
しかし、金融機関への再発行依頼や代替書類の準備が必要になります。
金融機関によっては、再発行に時間がかかることがあります。
古いローンの場合、金融機関の合併や名称変更により、問い合わせ先の確認から始めなければならないこともあります。
売却決済が近い段階でこれが判明すると、非常に慌ただしくなります。
完済時に届いた書類をそのままにせず、早めに抵当権抹消登記をしておくことが大切です。
少額だからといって軽く見てはいけません
諸費用ローンの抵当権は、債権額が比較的小さいことが多いため、軽く見られがちです。
しかし、登記簿上の抵当権として残っている以上、不動産取引では無視できません。
債権額が100万円でも、50万円でも、抵当権が残っていれば、買主や金融機関は確認を求めます。
「金額が小さいから問題ない」ではなく、「登記簿に残っているから問題になる」のです。
不動産登記は、第三者に対して権利関係を示すための制度です。
登記簿を見た第三者は、その抵当権が完済済みなのかどうかを、所有者の説明だけでは判断できません。
抹消登記がされていなければ、登記簿上は抵当権が残っている状態です。
少額の諸費用ローンだからこそ、完済後に忘れられやすい。
しかし、少額であっても、抵当権は抵当権です。
完済したら抹消する。
この基本を押さえておくことが重要です。
売却前に確認しておきたいポイント
不動産の売却を検討している場合には、早い段階で登記簿を確認しましょう。
売買契約を締結してから、あるいは決済日が近づいてから古い抵当権が見つかると、対応に時間がかかることがあります。
特に、住宅購入時に諸費用ローンを利用していた記憶がある場合には、乙区に複数の抵当権が残っていないかを確認することをおすすめします。
次のような場合には注意が必要です。
- 住宅購入時に物件価格以外の費用も借り入れた
- 住宅ローンとは別に諸費用ローンを組んだ記憶がある
- 諸費用ローンだけ先に完済した
- 金融機関から完済書類が届いていたが、登記した記憶がない
- 登記簿の乙区に複数の抵当権が記載されている
- 債権額の小さい抵当権が残っている
- 売却や借換えを予定している
このような場合には、不動産会社や司法書士へ早めに相談してください。
売却決済の直前ではなく、売却活動を始める段階で確認しておくと安心です。
不動産会社の方にも知っておいていただきたい点
諸費用ローンの抵当権は、不動産会社の方にもぜひ注意していただきたいポイントです。
売主様から「住宅ローンはあります」と聞いていても、登記簿上には住宅ローン本体の抵当権とは別に、諸費用ローンの抵当権が残っていることがあります。
また、売主様が「諸費用ローンは昔返しました」と話していても、抹消登記がされているとは限りません。
売主様本人は完済したつもりでも、登記簿には抵当権が残っていることがあります。
媒介受託時や売買契約前の段階で登記簿を確認し、乙区に複数の抵当権がないか、債権額の小さい抵当権が残っていないかを見ておくことが大切です。
少しでも不明な抵当権がある場合には、早めに司法書士へ相談していただくことで、決済直前の混乱を防ぎやすくなります。
抵当権抹消書類の再発行が必要になる場合、金融機関への確認に時間がかかることがあります。
売主様、買主様、金融機関、仲介会社、司法書士の全員が安心して決済に進むためにも、諸費用ローンの抵当権は早めに確認しておきたい項目です。
司法書士に相談するメリット
諸費用ローンの抵当権が残っているかどうか、どの抵当権がどのローンに対応しているかは、登記簿と金融機関の書類を確認しなければ判断できません。
司法書士に相談すれば、登記事項証明書の乙区を確認し、抹消すべき抵当権、必要書類、申請方法、追加で必要となる登記の有無を整理できます。
たとえば、登記簿上の所有者の住所が現在の住所と異なる場合には、抵当権抹消登記の前提として住所変更登記が必要になることがあります。
所有者が亡くなっている場合には、相続登記や相続人からの抹消申請を検討する必要があります。
金融機関が合併している場合には、現在の抵当権者や承継関係を確認する必要があります。
このように、諸費用ローンの抵当権抹消といっても、事情によっては確認事項が多くなることがあります。
特に、売却や借換えなどの予定がある場合には、早めに司法書士へ相談することで、決済スケジュールへの影響を抑えやすくなります。
よくあるご質問
諸費用ローンを完済したら抵当権は自動的に消えますか
自動的には消えません。
諸費用ローンを完済しても、登記簿上の抵当権を消すには、抵当権抹消登記を申請する必要があります。
住宅ローン本体が残っていても、諸費用ローンの抵当権だけ抹消できますか
諸費用ローンに対応する抵当権が別に設定されており、そのローンが完済され、抹消に必要な書類がそろっていれば、その抵当権だけを抹消できる場合があります。
ただし、実際には登記簿と金融機関の書類を確認して判断します。
債権額が小さい抵当権は諸費用ローンですか
債権額が小さい抵当権が諸費用ローンに対応している可能性はあります。
ただし、債権額だけで断定することはできません。
抵当権者、設定日、金融機関の書類、ローン契約の内容などを確認する必要があります。
完済書類をなくした場合でも抹消できますか
抹消できる場合があります。
ただし、金融機関への再発行依頼や代替書類の作成が必要になり、通常より時間がかかることがあります。
売却が決まってから対応すればよいですか
売却が決まってからでも対応できる場合はあります。
しかし、決済日が近い段階で抹消書類の不足や古い抵当権が判明すると、スケジュールに影響することがあります。
売却を考え始めた段階で、早めに登記簿を確認することをおすすめします。
まとめ
住宅購入時に諸費用ローンを利用した場合、その諸費用ローンに対応する抵当権が不動産に設定されていることがあります。
諸費用ローンは、住宅ローン本体と比べると債権額が比較的低いことが多く、金利条件も住宅ローン本体とは異なることがあります。
そのため、諸費用ローンだけを先に返済してしまう方は少なくありません。
しかし、諸費用ローンを完済しても、対応する抵当権は自動的には登記簿から消えません。
完済後に、抵当権抹消登記を申請する必要があります。
この抵当権抹消をしないまま放置すると、売却、借換え、相続、追加融資など、第三者が関係する場面で問題になることがあります。
特に売却決済では、登記簿上の抵当権をきれいに抹消する必要があるため、昔完済した諸費用ローンの抵当権が残っていると、抹消書類の確認や再発行で慌てることがあります。
少額だから大丈夫、昔返したから大丈夫、住宅ローン本体が残っているから関係ない、というわけではありません。
登記簿に残っている以上、抵当権は第三者から見える権利です。
完済したローンに対応する抵当権は、早めに抹消しておくことが大切です。
住宅購入時に諸費用ローンを利用した記憶がある方、諸費用ローンだけ先に完済した方、登記簿に債権額の小さい抵当権が残っている方、売却や借換えを検討している方は、一度、登記事項証明書の乙区を確認してみてください。
司法書士法人JOネットワークでは、住宅ローン完済後の抵当権抹消登記、諸費用ローンに伴う抵当権抹消、売却前の登記簿確認、古い抵当権の抹消手続きについてご相談を承っています。
「この抵当権は何のローンなのか分からない」
「諸費用ローンは返済したはずだが、登記簿に抵当権が残っている」
「売却前に抵当権を整理しておきたい」
このような場合は、決済直前ではなく、できるだけ早めにご相談ください。


