
所有不動産記録証明制度の活用事例|GISと地番ポリゴンで企業の不動産戦略は新しい時代に突入します
企業が保有する不動産は、貸借対照表上の資産であると同時に、経営戦略上の重要な経営資源です。
本社、支店、営業所、工場、倉庫、社宅、寮、研修所、駐車場、資材置場、遊休地、旧店舗跡地、過去の合併で承継した土地、現在は使っていない山林や雑種地。
企業の歴史が長くなればなるほど、保有不動産は全国に点在し、管理部門でも全体像を把握しにくくなります。
固定資産台帳には載っている。
登記簿上は会社名義になっている。
税務上は管理されている。
しかし、その土地が地図上のどこにあり、どのような形で、周囲に何があり、現在どのように使われているのかまで、一目で把握できている企業は多くありません。
ここに、所有不動産記録証明制度とGIS、そして地番ポリゴンを組み合わせる大きな可能性があります。
所有不動産記録証明制度により、法人名義の不動産を一覧として把握する入口が整いました。
ただし、一覧を取得しただけでは、企業の不動産戦略はまだ始まりません。
なぜなら、一覧表だけでは、土地の場所、形状、接道、周辺環境、利用可能性、売却可能性、統廃合の優先順位が見えてこないからです。
企業不動産を本当に経営に活かすためには、所有不動産の一覧をGIS上に配置し、地番ポリゴンで可視化し、地図上で比較・分析できる状態にする必要があります。
これにより、企業の不動産戦略は新しい時代に突入します。
土地のこと、地図のこと、地番のこと、不動産登記情報のこと。
これらを横断して整理できる専門家として、土地家屋調査士法人JONは、企業が保有する不動産の地図化、見える化、GIS活用、地番ポリゴン活用を支援します。
土地家屋調査士法人JON「企業の保有不動産を地図で見える化」
所有不動産記録証明制度は、企業不動産管理の入口になります
所有不動産記録証明制度は、登記名義人として記録されている不動産を一覧的に把握するための制度です。
相続登記の義務化と関連して語られることが多い制度ですが、請求できる者には所有権の登記名義人本人が含まれ、法人も対象になります。
つまり、企業自身が、自社名義で登記されている不動産を確認するための入口として活用できる可能性があります。
これまで企業が自社不動産を調べる場合、固定資産台帳、契約書、過去の登記資料、社内資料、税務資料、各拠点からの報告などを突き合わせる必要がありました。
しかし、長い年月の中で、会社名が変わったり、本店所在地が変わったり、合併で不動産を承継したり、旧会社名義のまま残っていたりすることがあります。
また、現場では使われていない土地であっても、登記上は会社名義として残っていることがあります。
所有不動産記録証明制度は、このような不動産を発見するためのきっかけになります。
ただし、ここで重要なのは、この制度はあくまで「一覧化」の入口であるということです。
証明書で不動産の存在が分かっても、その土地が経営上どのような意味を持つかは、別途分析しなければなりません。
そのためには、登記情報を地図情報へ変換する作業が必要です。
一覧表のままでは、不動産戦略にはつながりにくい
企業の保有不動産が一覧で出てきたとしても、それが表形式のままでは、経営判断には使いにくいことがあります。
たとえば、一覧表に次のような不動産が並んでいたとします。
- 東京都内の営業所敷地
- 地方都市の旧支店跡地
- 工場周辺の資材置場
- 郊外の社宅跡地
- 山林、原野、雑種地
- 合併で承継した旧会社名義の土地
- 共有持分のある私道や通路
このような一覧を見ても、どの土地が重要で、どの土地が遊休化しており、どの土地が売却候補で、どの土地が将来の事業用地として残すべきなのか、すぐには分かりません。
不動産は、表の中にあると単なる文字情報です。
しかし、地図上に配置すると、意味が変わります。
駅からの距離。
幹線道路との関係。
既存拠点との近接性。
隣接地との一体利用可能性。
市街化区域か、市街化調整区域か。
住宅地なのか、工業地なのか、農地なのか、山林なのか。
災害リスクはあるのか。
周辺で開発が進んでいるのか。
自社グループの他の土地と近接しているのか。
これらは、地図上で見て初めて直感的に分かる情報です。
だからこそ、所有不動産記録証明制度で得た一覧を、GISと地番ポリゴンに展開することが重要になります。
GISと地番ポリゴンで、企業不動産は「見える資産」になります
GISとは、地理情報を扱うためのシステムです。
住所や地番、緯度経度、地図、航空写真、用途地域、ハザード情報、路線価、都市計画情報などを重ね合わせることで、場所に関する判断を支援します。
企業不動産をGIS上に配置すると、これまで台帳上でしか見えていなかった資産が、地図上の資産として見えてきます。
さらに重要なのが、地番ポリゴンです。
地番ポリゴンとは、土地の一筆ごとの位置や形状を地図上で面として表現する情報です。
単に地図上に点を打つだけでは、その土地の形や広がりは分かりません。
しかし、地番ポリゴンで表示すれば、その土地が細長いのか、整形地なのか、道路に接しているのか、周囲の土地とどのような関係にあるのかが見えやすくなります。
企業不動産の戦略では、この「面として見る」ことが非常に重要です。
不動産は、点ではなく面です。
面として見えることで、活用可能性、売却可能性、隣接地との一体利用、分筆や境界確認の必要性が見えてきます。
企業の不動産管理は、台帳管理から地図管理へ進むべき段階に来ています。
企業不動産戦略は「所在確認」から始まります
企業不動産戦略というと、売却、賃貸、再開発、CRE戦略、資本効率、収益化といった言葉が先に出てきます。
しかし、実務上の第一歩はもっと基本的です。
まず、その不動産がどこにあるのかを正確に把握することです。
地番は分かっている。
登記簿はある。
固定資産税は払っている。
しかし、現地がどこか分からない。
この状態では、戦略は立てられません。
特に、全国に不動産を保有する企業、過去に多くの拠点を持っていた企業、合併や事業譲渡を経験している企業では、社内資料だけでは場所の確認が難しい土地が出てくることがあります。
市街地の土地であればまだ分かりやすいかもしれません。
しかし、山林、原野、農地、旧社宅跡地、旧工場周辺地、私道持分、細かな残地などは、地番だけでは現地が分かりにくいものです。
企業不動産戦略は、所在確認から始まります。
そして、所在確認には、地番を地図上の位置に変換する技術と、土地の形状を読み取る専門性が必要です。
地図化すると、経営判断の順番が見えてきます
企業が保有不動産を地図化すると、次に何をすべきかが見えやすくなります。
すぐに売却を検討すべき土地。
隣接地と一体で価値が出る土地。
現地確認が必要な土地。
境界確認や測量が必要な土地。
建物の有無を確認すべき土地。
貸付中か、自社利用中か、空き地かを確認すべき土地。
グループ会社間で管理を整理すべき土地。
将来の事業用地として残すべき土地。
災害リスクや法規制を確認すべき土地。
これらを一覧表だけで判断するのは難しいです。
しかし、地図上に配置すれば、優先順位が立てやすくなります。
都市部にある小規模土地は売却や賃貸の検討対象になるかもしれません。
工場周辺の土地は将来拡張や物流動線の観点で残す価値があるかもしれません。
山林や原野は管理コスト、災害リスク、境界不明リスクを確認する必要があります。
細長い土地や道路状の土地は、単独利用ではなく隣接地や通路権限との関係を確認すべきかもしれません。
地図化は、単に場所を示すための作業ではありません。
経営判断の順番を作る作業です。
土地家屋調査士法人JONが対応できる理由
地図化や地番ポリゴンの活用には、単なるITだけではなく、土地に関する専門知識が必要です。
地番と住所は違います。
登記簿の所在と住居表示は違います。
公図と現況が一致しないこともあります。
分筆、合筆、地積更正、地図訂正、筆界、境界標、道路後退、私道持分、地役権、借地権など、土地に関する論点は多岐にわたります。
地番ポリゴンを地図上に表示したとしても、それをどう読むかには専門性が必要です。
たとえば、ポリゴンが細長く表示されている土地がある。
それが道路なのか、通路なのか、残地なのか、実際に使われている敷地の一部なのか。
地図上で隣接しているように見える土地が、登記上は別所有者なのか、自社所有なのか、共有なのか。
現況建物があるように見えるが、登記上の建物と一致しているのか。
このような判断には、土地家屋調査士の視点が必要です。
土地家屋調査士法人JONは、土地の調査、測量、境界、地番、建物、登記、地図を扱う専門家として、企業の保有不動産の見える化を支援できます。
「地図のことなら土地家屋調査士法人JONが対応可能です」と言える理由は、単に地図を表示できるからではありません。
地図に表示された土地を、登記・境界・現況・企業不動産管理の観点から読み解けるからです。
株式会社JONの地番地図・APIとの連携
企業不動産の地図化では、株式会社JONの地番地図やAPIプロダクトとの連携も大きな強みになります。
株式会社JONのAPIプロダクトでは、地番地図を画像データとして配信する画像地図API、地番地図をポリゴン形式で配信するポリゴン地図API、住所データや登記地番データから位置座標を返す位置特定API、登記情報を取得する登記取得API、取得した登記情報を解析する登記解析APIなどが案内されています。
これらを組み合わせることで、所有不動産記録証明書に記載された不動産を、単なる一覧表から地図上の情報へ変換していくことができます。
また、JONのインデックス・マップは、土地の位置、形状、地番を確認できる全国地図として整備されており、地番に緯度経度を付与するという考え方を持っています。
企業が保有不動産を全国規模で地図化する場合、このような地番地図・位置特定・ポリゴン化・登記解析の組み合わせが重要になります。
ただし、APIや地図データは万能ではありません。
原典資料の状態、地図の精度、登記情報の鮮度、同一・類似名称の存在、過去の商号変更や本店移転などにより、確認が必要なケースは必ず出てきます。
だからこそ、システムで抽出し、GISで可視化し、土地家屋調査士の目で確認する体制が重要になります。
企業が活用できる具体的な場面
所有不動産記録証明制度とGIS・地番ポリゴンの組み合わせは、さまざまな企業活動に活用できます。
1.遊休不動産の棚卸し
全国に点在する不動産を地図化することで、現在使われていない土地や建物を把握しやすくなります。
台帳上は存在していても、現場で使われていない土地、過去の事業所跡地、社宅跡地、資材置場、駐車場などを整理できます。
2.売却候補地の抽出
地図上で立地、接道、周辺環境、都市部からの距離を確認することで、売却候補地を抽出しやすくなります。
不動産会社へ相談する前に、社内で候補地を整理できます。
3.事業用地の再評価
工場、物流拠点、営業所周辺の土地を地図化すると、将来の拡張余地や再配置の可能性を検討できます。
隣接地との関係や、周辺道路との接続も確認しやすくなります。
4.合併・再編後の不動産整理
合併や会社分割、事業譲渡を経験した企業では、旧会社名義の不動産や承継された土地が残っていることがあります。
法人名、旧商号、本店所在地、会社法人等番号などを確認しながら、名義と現況を整理する必要があります。
5.災害リスク・管理コストの把握
山林、原野、斜面地、河川沿いの土地、海岸沿いの土地などは、保有しているだけで管理上のリスクが発生することがあります。
地図上で位置を確認し、必要に応じてハザード情報や現地確認へ進むことができます。
6.社内共有資料としての活用
不動産部門、財務部門、法務部門、経営企画部門、現場部門が同じ地図を見て議論できるようになります。
一覧表だけでは伝わりにくい不動産の状況を、地図として共有できることは大きな価値です。
所有不動産記録証明書だけでは、場所は分かりません
ここで誤解してはいけないのは、所有不動産記録証明書を取得すれば、それだけで企業不動産の全体像が完成するわけではないということです。
所有不動産記録証明書は、不動産を一覧的に把握するための入口です。
しかし、経営判断に必要なのは、その先です。
その土地がどこにあるのか。
どのような形をしているのか。
実際に使われているのか。
道路に接しているのか。
周辺には何があるのか。
売れる土地なのか。
残すべき土地なのか。
測量や境界確認が必要なのか。
登記名義や現況に問題はないのか。
これらを確認するには、地図化と専門家の確認が必要です。
所有不動産記録証明制度は、企業不動産戦略のスタート地点です。
GISと地番ポリゴンは、そのスタート地点から経営判断へ進むための道具です。
企業不動産管理は「台帳」から「地図」へ
これまで企業不動産管理は、台帳中心で行われることが多かったと思います。
物件名、所在地、地番、面積、取得日、帳簿価額、固定資産税、利用状況。
これらはもちろん重要です。
しかし、これからの企業不動産管理は、台帳だけでは不十分です。
台帳に地図を重ねる必要があります。
文字情報に位置情報を加える必要があります。
地番にポリゴンを加える必要があります。
登記情報に現況確認を加える必要があります。
そうすることで、企業不動産は、単なる保有資産から、経営判断に使える情報資産になります。
不動産を持っている企業は、これから「どれだけ持っているか」だけではなく、「どこに、どのように、どの形で持っているか」を問われる時代になります。
GISと地番ポリゴンは、その問いに答えるための基盤になります。
土地家屋調査士法人JONの支援イメージ
土地家屋調査士法人JONでは、企業の保有不動産について、次のような支援が可能です。
- 所有不動産記録証明書に基づく不動産一覧の整理
- 地番をもとにした位置確認
- GIS上への不動産配置
- 地番ポリゴンによる土地形状の可視化
- 登記情報と地図情報の突合
- 旧商号・本店移転・合併等がある法人名義不動産の整理
- 遊休地・未利用地候補の抽出
- 現地確認が必要な土地の分類
- 測量・境界確認・分筆等が必要な土地の抽出
- 社内共有用の地図資料作成
企業の不動産戦略では、最初からすべての土地を詳細調査する必要はありません。
まずは一覧を作り、地図に配置し、優先順位を付けることが重要です。
そのうえで、重要度の高い土地、売却可能性のある土地、境界リスクがありそうな土地、事業上の意味が大きい土地から、詳細調査へ進みます。
この段階的な整理こそ、企業不動産戦略を現実的に進める方法です。
まとめ
所有不動産記録証明制度の活用により、企業が自社名義の不動産を一覧的に把握する入口が整いました。
しかし、不動産の一覧を取得するだけでは、企業不動産戦略は完成しません。
一覧表をGISに載せ、地番ポリゴンで土地の位置と形状を可視化し、登記情報や現況情報と突き合わせることで、初めて経営判断に使える情報になります。
これまで台帳上の文字情報として管理されていた不動産は、地図上で見える資産へ変わります。
どこにあるのか。
どのような形なのか。
使われているのか。
売却できるのか。
残すべきなのか。
境界や測量の課題があるのか。
これらを地図上で確認できるようになることで、企業の不動産戦略は新しい時代に突入します。
地図のことなら、土地家屋調査士法人JONが対応可能です。
所有不動産記録証明制度、GIS、地番ポリゴン、インデックス・マップ、登記情報、現況確認を組み合わせ、企業が保有する不動産を経営判断に使える形へ整理します。
企業の不動産は、眠らせておく資産ではありません。
地図に載せ、見える化し、戦略的に使う時代です。



