
遺言とは、遺言者の死亡とともに一定の効果を発生させることを目的とする相手方のない単独行為といわれています。具体的には人の生前における最終の意思に法律的効果を認め死後にその実現をはかる制度です。
遺言は、15歳に達した者であれば行うことができます(民法961条)。また、成年被後見人も本心に復しているときは医師2人以上の立会で行うことができます(同973条1項)。
遺言事項は、財産の処分事項に限られず、一定の身分上の事項についても行うことができますが、遺言でできる事項は法律で認められた次の事項(遺言法定事項)に限られます。ただし、遺言内容に法定事項の内容が記載されていれば、付言事項として遺言者の想いなどを記載することは可能です。
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相続に関する事項
A 相続人に関してその廃除及び廃除の取消し(同893条、894条2項)
B 相続分に関してその指定及び指定の委託(同902条)、特別受益者の相続分に関する指定(同903条3項)
C 遺産の分割に関して分割方法の指定及び指定の委託(同908条前段)、分割の禁止(同908条後段)及び分割に関連する共同相続人間の担保責任の指定(同914条)
D 遺留分侵害額の請求における受遺者又は受贈者の負担割合の指定(同1047条1項2号)
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相続以外の遺産の処分に関する事項
A 遺贈(同964条)
B 一般財団法人の設立(一般法人法152条)
C 信託の設定(信託法3条)
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身分上の事項
A 親子関係創設のための認知(民法781条2項)
B 後見人及び後見監督人の指定(同839条、848条)
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遺言の執行に関する事項
A 遺言執行者の指定及び指定の委託(同1006条)