
共同相続の場合において、遺産を構成する相続財産を分割して、各相続人の所有とすることをいいます。
遺産分割の方法としては、①遺言による指定分割(民法908条)、②協議分割(同907条1項)、③家庭裁判所による審判分割(同907条2項)があります。
遺産分割を行うためには次の戸籍謄本等が必要になります。
- 被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本(除籍・改正原戸籍)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 代襲者がいる場合は被代襲者の出生時から死亡時までの戸籍謄本(除籍・改正原戸籍)
- さらに兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の父母の出生時から死亡時までの戸籍謄本(除籍・改正原戸籍)、
- 兄弟姉妹に代襲者がいる場合は兄弟姉妹の出生時から死亡時までの戸籍謄本(除籍・改正原戸籍)
ところで、遺産の中に含まれる銀行預金(預貯金債権)に関して、平成30年に民法が改正されました。これは平成28年の最高裁決定により「預貯金は、相続開始によって当然に分割されることはなく、遺産分割の対象になる。」と従来の判例が変更されたことを踏まえて行われたものです。
判例の変更に伴い、預金債権について、遺産分割前においては、共同相続人全員が共同して払戻請求をしなければならないことになり、被相続人の債務の弁済や葬儀費用の支出に充てるために被相続人名義の預金の払戻しが必要となったときに、共同相続人の合意が得られない場合は、払戻しできなくなったためです。
改正法では民法909条の2が新設され、各相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始時の債権額の3分の1に法定相続分を乗じた額を限度(ただし、150万円を上限)として、単独で権利を行使することができることになりました。